2007年08月14日

ミクシー日記(6月12日分)

「バイトと社員」


バイト派遣会社って、どうしてバイトのことを「お仕事」と呼ぶのだろう。
バイトと仕事とは違うと思うのだが。

そういえば昔、甲子園の倉庫のバイトをしたときのこと。
あれは六年以上前になる。
まだ僕がういういしい大学一回生だったときのことだ。

倉庫業務がはじめてだった僕は、左も右もわからなかった。
現場に花村さんという30歳くらいの男の人がいた。
おとなしくて物腰やわらかな人だった。
彼は僕に、はにかみながら仕事を教えてくれた。
倉庫業務で生活している人で、お世辞にも高給取りとは思えないし、将来的に高給を取るとは感じられない。
優しそうな感じではあるが、まったく男前ではないし、力仕事をしているわりには、筋肉に恵まれてはいなかった。

花村さんはいつも怒られていた。
階級は花村さんよりも上かもしれないが、年下の人に胸倉をつかまれていた。怒号をあびせられていた。

花村さんには彼女がいなかった。
口数も少ないし、おおよそもてるタイプではなかったろう。
唯一の趣味は釣りであり、週末に釣りに行くのが楽しみだと言う。

花村さんは職場でもなんとなく孤立していた。
僕とはよく昼ごはんを食べた。

ある日、僕はミスをしてしまった。
台車に乗せた商品が、所定の位置と違っていたのだ。
すぐに社員の人がとんできた。

僕は謝った。ひたすらに謝った。
すると花村さんがやってきて、開口一番こう言った。

「すいません、それは僕がやりました」

言うやいなや、花村さんは社員に殴られた。
ゲンコツで顔を殴られた。
社員の人は気まずくなったのか、もう間違うなよと言って、足早にその場を去った。
僕が社員の背中にむかって「僕のミスです」と言ったが、もはや無視されてしまった。

花村さん、だいじょうぶですか!
僕はかけよった。
すると彼はいつものようにはにかみながら、「大丈夫。さあ、残りの仕事終わらせようよ」と言った。

僕は元気よく返事をし、仕事を再開したが、帰り道のバスの中でそのことを思い出し、涙が流れた。

最近の女の子は、何を基準に男の子を選ぶ。
将来性か、金か。
顔か、頭の良さか、それとも面白さか。
僕が聞く限り、ほとんどの答えがこれらある。

合コンで将来性あるサラリーマンと出会いたい。
男前の人が大好き。

うむ、それはわかる。理解できる。
僕も、弁護士という、賞賛されるべき職業を目指している。

それでも、僕は言いたい。
もっと大切なこともあるんだよと。

みんなはその日、何をしていたかわからないけれど、花村さんは炎天下の倉庫の中で、何の得もないのに僕をかばって殴られた。
すべてにおいて社会的弱者である彼が、バイトの僕をかわいそうに思い、かばったのだ。
自分は社員だから、バイトをかばった。

僕はあのときの、くったくのないはにかみを忘れられない。
どれだけ社会的に成功したって。弁護士になったって、医者になったって、商社に入ったって。
あの人間たる心をもちうる花村さんのようにならねばならない。
そしてそんな人を評価せねばならない。

花村さん、あのときはありがとうございました。
僕は大切なことを学びました。
今年の梅雨は少雨のようですが、川の魚たちの様子はどうですか。誰か良い人は見つかりましたか。
もう会えなくなってしまったけれど、どこかの清流で釣りを楽しんでいらっしゃることでしょう。
雨に気をつけて、心地よい週末をお過ごしください。


posted by 映画委員長 at 00:51| 奈良 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2007年06月12日
22:42
セイロ

良い人に巡り会えたんやね。
前代の腐った世の中に,まだこんな人がいるとはね〜

僕は仕事上,バイトや後輩を指導する立場にあるが
「部下のミスは上司のミス」
という定義は実在します。
しかしながら,人間完璧じゃない以上ミスはつきもの。
部下をかばって怒られるのも上司の仕事である。
なんとも理不尽なのだが,これは社会で生きていくための,社会で生きている中で避けて通れない。
しかし実際人のミスを自分のミスだと言える人が世の中に何人いるだろう…ほぼ全ての人は自分の事しか考えていない。
嫌な先輩に目の敵にされたり,生意気な後輩に虐げられたり,同僚にはぶかされたり。
人を傷つける事しかできない人間が世の中の80パーセントを占めているんじゃないかとすら思えるくらい腐っている。
教養や容姿,財産が全てではない。
その中に心がなかったらただのエゴの塊。
人間性がその人の人間力だと僕は思う。
不器用にしか生きられないひともいる,しかし,心がある人の周りには必ず人があつまり,やがて大きな繋がりになり成功へと誘ってくれる。
心理学を学んでいる僕は,そういった心を大切にしたいと思っています。
日々勉強,日々精進。

2007年06月13日
15:13
よしや魔

大人が相対的に大きいのは、小さいものを守るためなのです。いい話です。

心の小さな大人は、アンバランスなのです。

2007年06月13日
23:11
コンブ

殴るとか
最低やなぁ!!
まず女の人にあの人最低のうわさを広めて、
チクリチクリやっていくしかないのでしょうか。
その人が弱いんでなく
そやつが最低なんや!!

しょうもないとこで殴る人嫌い
すぐ死ねとかいう人きらい(*_*;
顔とかお金で好きになれないよ〜

とあんま経験ないが言ってみる。
25最(゜レ゜)
恋?
なんだっけ?

バイトも仕事もおなじだよ〜
社員=派遣=バイト
だよ〜
大してかわんない。

最近派遣の仕事を始めて色々働き方について考えます。
仕事というものについて考えます。

毎朝中国人の社員に派遣かわいそう〜と言われます。
毎朝毎朝言われるとごめん。
ちょいとウザイ。。。
嫌いな言葉をいうてみた。
派遣をやってみたかったんだよん。
というのは負け惜しみ?




2007年06月25日
16:53
モリカツ

>セイロ
たしかに、部下のミスは上司のミスだと思います。
なぜなら、部下にミスなく仕事をさせるということ自体が、上司の仕事でもあるからです。
しかし、今回の派遣のような単純作業においては、そこまで複雑ではありません。
あれはたんなる僕のミスであって、それ以上のものではありません。
したがって、花村さんのいいところばかりに目がいきました。
彼にはミスを転化される責務などないはずだからです。
ほぼ全ての人は自分のことを最も重視します。
しかし、かつ他人も同時にどこまで考えられるかが大事なのです。
そのあたりの器用さというか、感覚を僕たちは今後学んでゆく必要があると感じます。

>よしや魔
昨今は心の小さな大人がたくさん増えているように思います。
これは、個人主義の弊害だと考えています。
もう少し他人を思うべき気持ちをつけるべきだと、オンラインでは大人の方に書いておきたいです。
ただ、僕のまわりに変な人はほぼいません。そういう人を避けているためと、僕には人と出会う運があるためです。

>コンブ
ちくりちくりは僕の性と合いません。
女の子を殴ったり、女の子に「死ね」という男は少数では?
まあそれを受けるくらい性根の曲がった女の子もいますが。
しかし、殴ったりとかはいきすぎ。
でもね、顔やお金で人を選ぶ女の子は多いんだよ。

派遣とバイトがあまり変わらないという意見は説得性があります。
しかし、やはり責務を負う社員と、バイトとの間には、形式的ながらも何らかの違いがあると思うのです。


Posted by コメント at 2007年08月14日 00:52
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